寝る前の水分を控え、夜中にトイレへ連れて行っても、朝になるとまた布団が濡れている。子どもの夜尿症(おねしょ)が小学生になっても続くと、ドキッとしますよね。
病院で何をされるのか、どのくらいで終わるのか見通せず、受診をためらう方も多いでしょう。何科に行くかからアラーム療法と薬の選び方、治療期間の目安までを受診の流れに沿って知っておけば、夜尿症の治し方の見通しは立てやすくなります。慌てずに、次の一歩を選んでみてくださいね。
医療機関での夜尿症の治療は、生活指導を土台に、アラーム療法(濡れると鳴る機器で夜中に起こす治療)か、デスモプレシンという薬を、最初に検討される治療(第1選択)として進めるのが基本です。相談先は小児科か泌尿器科です。初診の前後に数日〜1週間ほど排尿日誌をつけると、治療の選び方が決まりやすくなります。効果の確かめ方は治療ごとに違い、機器を使う治療は1.5〜3か月で判定し、薬は定期的な受診で確かめます。夜尿が半分まで減らなければ、切り替えや併用を医師と相談しましょう。
夜尿症の原因や年齢ごとの目安は、子どもの夜尿症(おねしょ)の原因と年齢別の目安を解説した記事で詳しく紹介しています。
本記事の編集方針について
あんよマガジンは、編集方針に基づき、公的機関の発表資料や学会ガイドライン等の一次情報を確認したうえで記事を制作しています。
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本記事は、疾患や症状に関する一般的な医学情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療方針を示すものではありません。また、特定の医薬品・医療機器・治療法の効果を保証・推奨するものでもありません。気になる症状やご不安がある場合は、自己判断せず、医療機関にご相談ください。
なお、本記事の内容は公開時点の情報に基づいており、最新の医学的知見や制度改正により変わる場合があります。
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夜尿症の治し方は?医療機関では生活指導から始め、アラーム療法と薬で進める
医療機関での治療は、生活指導を土台にして、アラーム療法か薬物療法を加える段階的な流れです。どちらを選ぶかは、排尿日誌と検査で分かる夜尿症のタイプで決まります。
夜尿症の定義と治療の対象
医療で夜尿症と呼ぶのは、5歳以上で1か月に1回以上の夜のおねしょが、3か月以上続く状態です[1]。この基準に当てはまり、本人や家族が困っていれば、治療を相談できる段階と考えてよいでしょう。
治療で治癒率が上がるという報告
夜尿症は、7歳ごろから年に約15%ずつ自然に治っていくとされています。一方で、生活指導をはじめとする治療によって、治癒率が自然経過の2〜3倍に高まり、治癒までの期間が短くなるともいわれています[1]。
自然治癒を待つか、治療を始めるか。決め手は、本人と家族の困りごとの大きさです。効果の出方には個人差があるため、治療ごとに決まった時期に効果を確かめ、必要なら切り替えるという進め方をとります。
治療の基準は夜尿症診療ガイドライン2021
治療の進め方の基準は、日本夜尿症学会(現・日本夜尿症・尿失禁学会)がまとめた「夜尿症診療ガイドライン2021」です。2021年11月に発行された版で、2026年9月の調査時点で新しい版の発行は確認できませんでした[2]。
このガイドラインは、生活指導を土台に、デスモプレシンによる薬物療法とアラーム療法を、最初に検討される治療として位置づけています[3]。
夜尿症は何科に相談する?小児科・泌尿器科・夜尿症外来と相談の目安
夜尿症の相談先は、小児科か泌尿器科です。日本泌尿器科学会は、小学校に入っても夜尿が続く場合に、小児科あるいは泌尿器科の受診をすすめています[1]。
| 相談先 | 相談しやすい場面 |
|---|---|
| かかりつけの小児科 | 子どもの体質や成長を知る医師に、まず相談したいとき |
| 泌尿器科(子どもを診る医療機関) | 昼間の尿の出方にも気になる点があるとき |
| 夜尿症外来 | 治療を続けても変化が乏しく、治療の見直しを相談したいとき |
どこから始めても治療の大きな流れは同じなので、通いやすさと続けて相談できるかで選ぶとよいでしょう。
相談を急ぎたいサイン
次のようなときは、早めに相談しましょう。
- 昼間の尿失禁(昼間のおもらし)や、トイレを我慢できない様子もある
- しばらくおねしょがなかったのに、また始まった
- おしっこのときに痛がる、尿の色やにおいがいつもと違う
- ほぼ毎晩夜尿があり、本人が強く気にしている
毎晩のように夜尿がある重い場合は治りにくいため、日本泌尿器科学会は早めの受診をすすめています[1]。
夜尿だけの場合を単一症候性、昼間の症状を伴う場合を非単一症候性と呼びます。昼間の症状がある場合は、時間を決めてトイレに行く練習や便秘への対応を先に行う流れを、ガイドラインは示しています[3]。
夜尿がなかった時期が6か月未満のものを一次性、6か月以上なかった夜尿が再び始まったものを二次性と呼びます。二次性では、夜尿のきっかけになった病気がないかを先に調べ、あればその対応から始めます[3]。
受診から治療開始までの流れは?初診で聞かれること・排尿日誌・検査
受診から治療開始までの順番は、問診・排尿日誌・検査・治療方針の決定です。流れを知っておくと、初診の前に家で準備できることが見えてきます。

| 工程 | すること | 時期の目安 |
|---|---|---|
| 1. 相談先を決める | 小児科・泌尿器科・夜尿症外来から通いやすい先を選ぶ | 受診前 |
| 2. 初診(問診) | 夜尿の回数、昼間の様子、便通、生活リズムを伝える | 1回目の受診 |
| 3. 排尿日誌 | 夜尿の有無と量、寝る前の水分、昼間の排尿を記録する | 数日〜1週間程度(医療機関の指示による) |
| 4. 検査 | 尿検査を中心に、必要に応じて超音波検査などを行う | 初診〜2回目の受診 |
| 5. 治療方針 | 日誌と検査から夜尿症のタイプを見て、治療を選ぶ | 日誌を持って受診したとき |
| 6. 治療と効果の判定 | 生活指導に加え、アラーム療法か薬を始める | 機器の治療は1.5〜3か月で判定、薬は定期的な受診で確かめる |
| 7. 見直し(切り替え・併用) | 夜尿が半分まで減らなければ、治療を切り替えるか組み合わせる | 判定のあと |
| 8. 終了 | 機器の治療は夜尿のない日が14日続いたら終える。薬は医師と相談しながら段階的に減らすことが多い | 夜尿が減ったあと |
初診の日にすべてが決まるわけではありません。日誌と検査の結果がそろってから治療方針が決まる、という流れを想定しておくと安心です。
初診で聞かれること
初診では、夜尿の回数や量、昼間の尿失禁や急な尿意の有無を聞かれます。1日の排尿回数や便秘、寝る時刻などの生活リズムも確かめる項目です。ガイドラインの診療の流れも、症状と病歴、便秘の確認から始まります[3]。
初診に持っていくと役立つもの
- 保険証と子ども医療費受給者証
- 夜尿のあった日を書き込んだカレンダーや日誌
- 家で試してきた工夫(飲み物の時間、寝る前のトイレ)のメモ
- 医師から指示があれば、朝いちばんの尿
排尿日誌のつけ方
排尿日誌(夜尿日誌)は、夜尿のタイプを見分けるための記録です。医療機関から用紙を渡された場合は、その書式に沿って書きましょう。
排尿日誌に書く主な項目
- 夜尿があったか、一晩に何回か
- 夜の尿量の目安(量り方は医療機関の指示に沿う)
- 夕食後から寝る前までに飲んだ量と時刻、飲んだもの
- 昼間の排尿の時刻と1回の量、尿漏れや急な尿意の有無
- 便が出たか、便の回数と硬さ
ガイドラインが示す記録のしかたは、夜尿と昼間の尿失禁の回数、便の記録を7日間、昼間の排尿の時刻と量を48時間(2日続けなくてもよい)というものです[3]。実際の期間は医療機関の指示に合わせましょう。共働きで平日に通いにくい場合は、週末から日誌を始め、記録がそろう日に受診日を合わせると、通院の回数を減らせます。
初診で行う検査
検査は尿検査が基本で、ガイドラインは初診の全員に行うとしています。尿の濃さや糖、細菌の有無などを調べ、夜尿の背景にほかの病気(尿路感染症や糖尿病、尿崩症など)がないかを確かめます[3]。
超音波検査は全員に行うものではなく、必要に応じて腎臓や膀胱、残尿、便のたまり具合を見るために行われます[3]。
夜尿症のタイプに合わせた治療方針の決め方
日誌と検査で見分けるのは、夜尿症のタイプです。夜間多尿(夜に作られる尿が多い)か、膀胱容量(膀胱にためられる量)が小さいか、その両方かによって、選ぶ治療が変わります。
日本小児泌尿器科学会は、夜間多尿型にはデスモプレシン、膀胱型にはアラーム療法か抗コリン薬(膀胱の過剰な動きを抑える薬)、混合型にはこれらの併用を対応させています[4]。
なお、夜尿だけの単一症候性の場合、ガイドラインは抗コリン薬だけで治療を始めることを推奨していません。使うときは、夜間多尿に使う薬との併用が中心です[3]。
治療の土台になる生活指導と行動療法とは?
生活指導は、すべてのタイプに共通する治療の土台です。ほかの治療を加える場合も、並行して続けます。
日本小児泌尿器科学会は、夜中に無理に起こさないこと、夕方以降の飲水を控えることを、全タイプ共通の基本に挙げています[4]。
水分と寝る前のトイレ
- 昼間はしっかり水分をとり、夕食後から就寝前は水分制限を心がける
- 塩分の多い夕食は控えめにする(塩分のとりすぎは夜の尿量を増やす要因とされる)
- 寝る前にトイレへ行く流れを、毎晩の習慣にする
夜中は無理に起こさず、叱らない
- 夜中に無理に起こさない
- 便秘があれば、食事や排便の習慣を整える
- 濡れた朝も叱らず、濡れなかった朝は一緒に喜ぶ
夜中に無理に起こさないことは、学会が生活指導の基本に挙げている項目です[4]。ガイドラインも、夜間に無理に起こすと睡眠が妨げられ、夜の尿量が増えることにつながる可能性を指摘しています。塩分のとりすぎが夜の尿量を増やす要因になるという研究結果も、同じガイドラインで紹介されています[3]。これまで夜中に起こしてきた場合は、そのことを初診で伝え、続けるかどうかを医師と相談しましょう。
夕方の水分や寝る前のトイレなど、ほかに家で続けてきた工夫は、そのまま治療の一部です。医師はその実行状況も見ながら、次の治療を足すかを決めます。
行動療法の例は、昼間に尿をためる練習や、時間を決めてトイレに行く定時排尿です[3]。どれを行うかは、医師が子どもの様子に合わせて提案します。
アラーム療法とは?仕組み・向いている子ども・続け方
アラーム療法は、おしっこで下着が濡れると機器が鳴り、子どもを起こす治療です。薬と並んで、最初に検討される治療の一つに位置づけられています[3]。

アラーム療法の仕組み
下着やパッドにつけたセンサーが濡れを感じると、本体が鳴ります。本体は寝間着につけるものや、置く場所を選ばない無線式などがあります[3]。音で自分から覚醒できないうちは、家族が起こしてトイレへ誘う協力が要ります[1]。
なぜ効くのかは、はっきり分かっていません。続けるうちに朝まで夜尿をせずにもつようになることが多く、睡眠中の膀胱容量が増えると考えられています[1]。日本小児泌尿器科学会は、膀胱容量が小さい膀胱型に対応させる治療の一つに挙げています[4]。
向いているケースと効果の目安
日本小児泌尿器科学会によると、この治療は3か月で60%程度の子どもに有効です[4]。ガイドラインは、改善がみられたら14日間続けて夜尿がなくなるまで続けるとし、それにはおおむね12〜16週間かかるとしています。1.5〜3か月続けても改善の兆しがなければ、いったん中止して別の治療を考えます[3]。
本人と家族に毎晩続ける気持ちがあることが前提になる治療です。費用について、ガイドラインは2020年時点でアラーム療法は保険診療として認められておらず、医療機関の指導を受けて機器を購入またはレンタルすることがほとんどだとしています[3]。現在の扱いと、方法・金額は医療機関ごとに異なるため、始める前に受診先で確認しましょう。
毎晩の手順と続けるコツ
- STEP 1 寝る前にトイレへ行き、センサーと本体をつける
- STEP 2 鳴ったら起きて音を止め、トイレで残りのおしっこを出す
- STEP 3 濡れた下着とパッドを替え、センサーをつけ直して寝る
- STEP 4 朝、夜尿の有無と鳴った時刻を日誌に書く
始めて数週間は、鳴っても起きられない夜が続くこともあります。装着の違和感や起きられないことなどから、約30%が途中でやめてしまうと報告されています[3]。家族が交代で付き添う日を決めておくと、続けやすくなるでしょう。
夜尿症の薬は?デスモプレシンを中心とした薬物療法と注意点
薬物療法の中心はデスモプレシンです。体内の抗利尿ホルモンの働きを補い、夜に作られる尿の量を減らす薬で、夜間多尿のタイプに向いています[4]。
デスモプレシンの飲み方と飲水制限
この薬は原則として6歳以上の子どもに使い、1日1回、寝る前に服用します。口の中で溶ける錠剤を水なしで飲み、少ない量から始めて、効果を見ながら医師が量を調整します[5]。
この薬は原則6歳以上が対象のため、5歳のうちは生活指導を続けながら、ほかの治療をいつ始めるかを医師と相談しましょう。
大切なのは飲水制限です。服用の2〜3時間前(夕食後)から翌朝まで、水分はできるだけ控えるよう添付文書に定められています[5]。
水分をとりすぎると、血液中のナトリウムが薄まる低ナトリウム血症(水中毒)を起こすおそれがあります。頭痛や吐き気、だるさが出たら服用をやめ、すぐに医師へ連絡しましょう。1週間以上続けるときは、血液中のナトリウムなどを調べる検査も行われます[5]。
添付文書は、水分を多くとってしまった日は服用しないこと、発熱や胃腸炎などで水分補給が必要な病気のときは服用を中止することを示しています。当てはまる日の対応は、あらかじめ医師に確認しておきましょう。
抗コリン薬(膀胱の動きを抑える薬)との併用
抗コリン薬は、膀胱の過剰な動きを抑える薬です。夜尿症の治療薬としては承認されておらず(適応外の使用)、保険適用もありません。デスモプレシンだけでは効果が足りない場合などに、併用を医師が検討します[3]。
アラーム療法と薬の違いを比べる
アラーム療法とデスモプレシンは、仕組みも毎晩の約束も違います。
| 項目 | アラーム療法 | デスモプレシン |
|---|---|---|
| 位置づけ | 最初に検討される治療の一つ | 最初に検討される治療の一つ |
| 始め方 | 医療機関の指導を受けて機器を借りるか買い、使い方の説明を受ける | 医師の処方を受け、少ない量から飲み始める |
| 仕組み | 濡れると鳴り、起きる経験を重ねる | 夜に作られる尿の量を減らす |
| 向いているタイプ | 膀胱容量が小さいタイプ | 夜間多尿のタイプ |
| 毎晩の約束 | 鳴ったら起きてトイレへ(家族の協力) | 寝る前に1回服用し、夕食後から翌朝まで水分を控える |
| 費用の扱い | 保険診療として認められていない(2020年時点・ガイドライン)。現在の扱いは受診先で確認 | 保険診療の処方薬(自己負担は保険・助成制度で異なる) |
| 効果の確かめ方 | 1.5〜3か月で夜尿の回数を見る | 1か月ごとを目安に受診し、状態を確かめる |
| やめ方 | 14日間続けて夜尿がなくなるまで続け、医師と終える時期を決める | 3か月前後ごとに1〜2週間休薬して様子を見て、医師の指示で段階的に減らす |
| 再発(やめた後) | 再び増えたら医師に相談し、再開や切り替えを考える | 再び増えたら医師に相談し、再開や切り替えを考える |
ガイドラインが紹介する研究のまとめでも、両者の有効性に明らかな差はないとされています[3]。どちらが優れているかではなく、夜尿のタイプと、毎晩の約束を家族が続けられるかで選ぶ治療です。一方で効果が足りないときは、切り替えや併用も選択肢です。
夜尿症の治療期間はどのくらい?効果の判定と見直し・やめ方
夜尿症の治療は、治療ごとに決まった時期に効果を確かめながら進みます。何か月で終わると決まっているものではなく、判定と見直しを重ねながら続ける治療です。
| 時期(対象の治療) | すること | 確認すること |
|---|---|---|
| 開始後(薬) | 1か月ごとを目安に状態を確かめ、1週間以上続けるなら血液検査も受ける | 飲水制限を守れているか、体調の変化はないか |
| 1.5〜3か月(アラーム) | 効果を判定する | 夜尿の回数が半分以下に減ったか |
| 3か月前後ごと(薬) | 1〜2週間休んで様子を見る | 薬を休んでも夜尿が減っているか |
| 夜尿が減ったあと(それぞれ) | 機器の治療は夜尿のない日が14日続くまで続けて終える。薬は医師と相談しながら段階的に減らすことが多い | 再び増えていないか |
時期はいずれも目安で、実際の受診の間隔は医師が決めます[5][3]。
効果が出にくいときの切り替え・併用
ガイドラインは、治療を始めても夜尿の頻度の減り方が0〜49%にとどまる、つまり半分に届かない状態を「無効」と定めています[3]。
無効のときは、2つの治療の切り替えや、両方を組み合わせる併用に進みます。それでも変化が乏しい場合は、抗コリン薬や三環系抗うつ薬の追加、専門の医師への相談を考える段階です。三環系抗うつ薬は名前に抗うつ薬とありますが、ここでは切り替えや併用で効果が足りないときに加える夜尿症の薬という位置づけです。まれに心臓への影響など重い副作用が起こりうるため、使うかどうかは医師が慎重に判断します[3]。
薬のやめ方と再発
添付文書は、漫然と服用を続けず、3か月前後ごとに1〜2週間休薬して夜尿の様子を確かめるよう求めています。成長とともに自然に軽くなる傾向があるためです[5]。
夜尿が減ったあとは、一度にやめず、医師の指示で量や回数を少しずつ減らしていきます。段階的に減らしたほうが、やめたあとの再発が少ないという報告が多いためです(否定的な研究結果もあります)[3]。やめたあとに再発することもあるので、再び増えてきたら早めに相談しましょう。
宿泊行事までに準備すること
林間学校や修学旅行などの宿泊行事を前に、治療を考える家庭もあるでしょう。薬は、国内の臨床試験で服用開始から3〜4週目の夜尿日数を見て効果を確かめています[5]。ガイドラインは、宿泊行事で薬を使う予定なら、量の調整と効き目の確認のため、行事の少なくとも6週間前から試しておくよう勧めています[3]。アラーム療法は判定まで1.5〜3か月かかります。日程が分かった時点で行事までの残り日数を医師に伝え、タイプに合う治療を一緒に決めましょう。
服用中なら、行事中の飲み方と飲水制限を医師に確認し、引率の先生とも共有しておくと安心です。
オンライン診療で相談できる内容
夜尿症の相談は、内容によってはオンライン診療でもできます。ただし検査は対面が必要なので、オンラインと対面を組み合わせて使う形が現実的です。
厚生労働省の指針は、オンライン診療を対面診療と適切に組み合わせて行うことを求め、実施のたびに医師が可否を判断するとしています[6]。
| オンラインで相談しやすいこと | 対面での受診が必要になること |
|---|---|
| 夜尿の経過や生活リズム、便秘についての相談 | 尿検査(朝の尿の濃さなどの確認) |
| 排尿日誌を見ながらの生活指導の確認 | 腎臓や膀胱の形を見る超音波検査 |
| 受診先や治療の進め方の相談 | 昼間の尿失禁がある、再び始まったなど詳しい診察が要る場合 |
| 飲水制限の守り方や宿泊行事の準備など、治療中の困りごと | 薬を続けるときの血液検査 |
処方できるかどうかは、診察した提携医療機関の医師が判断します。指針は、初診からのオンライン診療では処方できない薬や日数の制限を定めています[6]。
この記事で紹介したのは、治療の一般的な流れです。わが子の夜尿症がどのタイプで、どの治療から始めるとよいかは、排尿日誌と検査の結果を見た医師でなければ決められません。オンラインで相談できるのは経過や日誌をもとにした受診先・進め方の整理までで、タイプを見分ける尿検査などは対面で受けることになります。
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平日の受診が難しく、まずは受診先や治療の進め方を相談したいときは、小児科オンライン診療サービスあんよへ相談を検討してみてはいかがでしょうか。診療時間は毎日6時から23時までなので、子どもが学校から帰ったあとや寝る前の時間に、自宅から相談できます。予約はLINEで友だち追加して行います。
相談するときに手元に置いておくと話が進みやすいもの
- 排尿日誌(夜尿のあった日を書いたカレンダーでもよい)
- 保険証
- 子ども医療費受給者証
相談を通して整理しやすいのは、次のような点です。
- 今の様子で、対面の受診を急いだほうがよいか
- 小児科か泌尿器科か、どこで何を準備して受診するか
- 排尿日誌のつけ方や、夕方以降の水分の控え方
- 治療中の飲水制限の守り方や、宿泊行事に向けた準備
いずれも、診察した提携医療機関の医師が子どもの様子を聞いたうえで答える内容です。一方で、おしっこのときに痛がる、尿の色やにおいがいつもと違うなど尿検査が必要そうなときは、はじめから対面の医療機関で受診しましょう。昼間の尿失禁や、しばらくなかった夜尿の再開で詳しい診察が要るときも同じです。
サービスの利用料は無料で、診察の費用は健康保険と子ども医療費助成制度の対象です(助成の扱いは自治体により異なります)。診療内容と処方の責任は、診療を担当した提携医療機関が負います[7]。相談のあとで尿検査などが必要と医師が判断した場合は、対面での受診をすすめられることがあります。
夜尿症の治し方についてよくある質問【FAQ】
- Q1. アラーム療法と薬は、どちらから始めますか?
-
どちらも最初に検討される治療で、夜尿のタイプと家庭の事情をもとに医師が提案します。夜間多尿ならデスモプレシン、膀胱容量が小さければアラーム療法が候補になり、途中で切り替えることも可能です。
- Q2. 薬はずっと飲み続けるのですか?
-
漫然と続けるのではなく、3か月前後ごとに休薬して様子を確かめます。夜尿が減ってきたら、医師の指示で段階的に減らしていく流れです。
- Q3. アラーム機器に保険は使えますか?
-
ガイドラインによると、2020年時点でこの治療は保険診療として認められておらず、医療機関の指導を受けて機器を購入かレンタルするのがほとんどです。現在の扱いと、方法・金額は医療機関ごとに違うため、始める前に受診先で確認しましょう。
- Q4. 治療中、夕方以降の水分はどうすればいいですか?
-
昼間は十分に飲み、夕食後から寝るまでは控えめにします。デスモプレシンを飲む日は、服用の2〜3時間前(夕食後)から翌朝まで水分をできるだけ控えましょう。暑い日や運動した日の飲み方は、医師に確認しておくと安心です。
- Q5. 2つの治療は併用できますか?
-
はい、併用はガイドラインの治療の流れに含まれています。どちらか一方で効果が足りないときの次の一手として、医師が検討する方法です。
- Q6. オンライン診療で薬を出してもらえますか?
-
処方の可否は、診察した提携医療機関の医師が判断します。検査が必要な場合や、初診から処方できない薬の場合は、対面での受診をすすめられる場合もあるでしょう。
【まとめ】夜尿症は受診の流れを知り、治療を医師と選べば見通しが立ちます
- 相談先は小児科か泌尿器科。昼間の尿失禁や、しばらくなかった夜尿の再開があれば早めに相談する
- 初診の前後に排尿日誌をつけ、尿検査の結果とあわせて夜尿症のタイプを確かめる
- 生活指導を土台に、アラーム療法か薬(デスモプレシン)から始める
- 治療ごとの時期を目安に効果を判定し、半分まで減らなければ切り替えや併用を相談する
- 夜尿が減ったら、医師と相談して終える(薬は段階的に減らすことが多い)
治療はすぐに終わるものではありませんが、流れが分かっていれば焦らずに進められます。まずは今夜から排尿日誌をつけ、相談先を決めることから始めましょう。平日に通院の時間が取りにくい場合は、受診先や進め方の相談にオンライン診療を使い、検査は対面で受けるという組み合わせも選べます。
公開日:2026年9月29日
最終更新日:2026年9月29日
データ基準日:2026年9月(出典の取得時点)
次回見直しの目安:2027年3月(ガイドラインや添付文書の改訂、機器を使う治療の保険の扱いに変更があれば、その時点で見直します)
更新履歴
- 2026年9月29日:公開
参考資料
- 日本泌尿器科学会「『おねしょ』(夜尿症)が治らない」(2026年9月取得) ↩
- Mindsガイドラインライブラリ「夜尿症診療ガイドライン2021」(2026年9月取得) ↩
- 日本夜尿症学会(現・日本夜尿症・尿失禁学会)編『夜尿症診療ガイドライン2021』(2021年11月発行・Minds掲載の全文PDF) ↩
- 日本小児泌尿器科学会「夜尿症」(2026年9月取得) ↩
- デスモプレシン口腔内崩壊錠 添付文書(2025年6月改訂・JAPIC掲載) ↩
- 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」平成30年3月・令和8年4月改訂(2026年9月取得) ↩
- ジークス株式会社 事業紹介(診療の責任主体について) ↩
- 日本夜尿症・尿失禁学会 公式サイト(2026年9月取得)
- 厚生労働省「オンライン診療について」(指針の掲載ページ・2026年9月取得)

